西大鳥川支流 桝形川釣行[朝日連峰]

 
[報告者] 平江 誠
釣行日:2002/7/12〜14
メンバー:瀬畑雄三、瀬畑孝久、渡辺 肇、高久明夫、平江 誠
下田香津矢(全日本暇人協会)、斎藤金也 (山形山岳渓釣会)

 
 バテバテである。
 尾根を越え、沢を下ること 9 時間、なんとかテン場へ辿りついた。( 16 時 30 分)
 ブルーシートの宿をこしらえ、薪を集め終わると瀬畑さんを除く全員がへたりこんだ。
「釣りに行ってきなよ」・・・瀬畑さんが言ってくれるがとてもそんな余力は残っていない。ダラダラと乾杯が始まり、力の入らない宴会は早々に幕となる。



 早々に就寝となった瀬畑さんは 2 時 30 分に目覚めたらしく、ガサゴソとテントの中を這いずり回り、数名の安眠を妨げたようだ。早朝に釣りまでやったらしく、いい型を 2 匹キープしていた。
 二日目は快晴となる。絶好の釣り日和で、釣果も期待できそうだ。ここで沢割りとなるが、瀬畑親子と肇さんの 3 人が下流へ、それ以外の 4 人(下田・斎藤金也・高久・私)で上流を釣ることになった。珍しい事にこれだけの人数で餌釣りは肇さん只一人である。
 早速テン場上流の二股を本流沿いに左折し、全日本暇人協会会長である下田香津矢氏が竿を出すが暫くアタリが無い。最初に獲物をGETしたのは山形山岳渓釣会会長の斎藤金也氏であった。なんとテンカラ釣りが 3 回目という金也さんはラインを忘れたらしく、私のフライライン ( 4.5 m) と毛鉤の仕掛けで、 同じポイントから尺岩魚を含め 4 匹を釣り上げた。これをして「テンカラ開眼かー?」と金也さんも嬉しそうであった。

桝形川釣行でテンカラ開眼の斎藤金也氏(山形山岳渓釣会会長)
サウスポー・テンカラの高久明夫氏 下田香津矢氏(全日本暇人協会会長)

 滝と釜の連続するどちらかというと餌釣り向きのポイントを、 4 人してテンカラで攻める。滝を 5 つほど越えてたどり着いた広河原では、チャラ瀬で八寸が入れ食い状態となった。のんびりと釣りを楽しむことができ、皆うれしそうである。
 いやらしい雪渓をくぐり抜けたあたりで昼飯とする。まったり釣行なので疲れもない。ラーメンとおにぎりで腹を満たし、釣りの再開となる。


本流に掛かるスノーブリッジ
本流を釣り上がる 本流の河原でマッタリと昼食

 交互に釣り上がるがほどなく二又の滝を向かえ魚止めとなる。その上流を覗いてみたが、一気に階段状に 100 mほど高度を上げ沢幅も狭まり細流となる。
 釣り足りない気持ちもあり、途中の広河原に流れ込む枝沢にちょっかいを出すことにした。源頭らしくボサが被りいまいちかと思いきや先頭を歩いていた金也さんが慌てて後ずさりをしている。
 「いるっ!いるっ・・・」 小さなたまりであったが、覗き込むと尺上サイズが 3 匹悠々と泳いでいる。後ろで待機していた下田さんと高久さんは「あれっ、竿を出してるよー」と意外そうな顔で近づいてきた。
 興奮を押さえつつ振り込んだ金也さんの毛鉤を咥えたのは、尺 2 寸の見事な雄岩魚であった。続いて竿を出したのは下田さんであった。・・・が、しかし毛鉤に反応はするものの、一向に咥える気配がない。
 「違う色の毛鉤をながしたら?」ということで、私の登場となった。ニ投目で見事な尺物をGET!!。再び下田さんの出番となり、これまた見事な尺物を釣り上げた。  3 匹の尺物に色めき立つ 3 人をよそ目に、高久さんが次のポイントへと進む。 ・・・が、しかし渓沿いに左折したかと思ったらすぐに引き返してくるではないか。どうやら左へ曲がるとすぐに大滝となり魚止めとのこと。思わず苦笑いとなり枝沢を後にした。


本流の魚止滝 本流の魚止滝
金也さんが枝沢の溜まりで仕留めた尺二寸の雄イワナ
私にも2投目で来た尺物 下田氏にも尺物が

 沢を下っていくと、なんと下流を釣っているはずの瀬畑Jr氏が淵でテンカラ竿を振っている。暑さもあり思わずその淵にダイビングし、瀬畑Jr氏の前まで泳いでいくと、「上はどうだった?」と聞いて来たので、思わず「バッチリです!」と答えると、無言のまま、あっという間に下流へと引き返していった。
 思わず 4 人で「下流は釣れなかったのかな−?」などとあらぬ推測を交わしながら歩いていると、今度は竿を仕舞っている肇さんにあった。瀬畑Jr氏は、我々が下ってきたことを肇さんに伝える為に急いで下流へ戻ったらしい。下流組の様子を聞いてみると、なんと大スラブに阻まれ竿すら出す事ができなかったという。
 「これじゃあ入れ食いだったなんて言えないな−」などと言いながらも、先ほどの枝沢の一件が忘れられず、またまた次の枝沢に入っていく 4 人でありました。

枝沢の溜まりにキープしておいたイワナたち

2匹目のドジョウならぬイワナを求め、またもや枝沢へ

 テン場に戻ると、瀬畑さんがミズ菜の浅漬けを大量にこしらえていた。なんと 12 時前に戻っていたらしく、ミズ菜の処理に 4 時間も掛かったそうだ。また下流は大層な悪場で、よほど山の達者な人でないと川には降りられないとのこと。あの瀬畑雄三が言うのだから、よほどの悪さであったのだろう。この時ほど上流を選んでよかったと思ったことはなかった。
 早速皆で薪を集め、宴会へと突入である。肇さんがさばいてくれたイワナを下田さんが寿司に握る。ネタも前回ほどとはいかなかったが、大ぶりのサイズで至福の時を過ごす。下田さんよりバーボンを頂き、それを生のままであおる。数人が寝始める中、肇さんと 2 人盛り上がってしまった。
 気がつくと何もかけずに寝入ったようで、寒さで目が醒めた。あらためて寝袋に入り直し、就寝となった。

釣りの大家の渓語りに話が盛り上がる 7人で食したイワナは6匹だけ
肇氏がネタにさばき、下田氏が寿司を握る イワナの骨酒用に焼き枯らす

 翌日は強度の二日酔い。例によって瀬畑さんに飯を炊いて頂いたが、吐き気と頭痛で一口も食べることができない。次々と撤収作業が進められる中、一人頭を抱えたままうずくまっていた。渓に来てここまで二日酔いになったことは始めてで、帰りの道のりが不安になる。
 二日酔いが治るのを待ってもいられないので、テン場右岸上部にある"男根岩(ボッキ岩)"に別れを告げ、仕方なく帰路を辿ることとする。がしかし不思議な事にあれほど苦しかった頭痛や吐き気も、渓を歩いていると和らいでくる。昼食のころにはすっかり回復し、固めのおにぎりを 2 個も平らげた。・・・皆様、ご迷惑をおかけいたしました。


二日酔いで別れを告げたボッキ岩 9時間の道のりが待っている・・・
朝日の山々を見下ろす

 午後になり、別れを惜しむかのように降り出した雨に後ろ髪を引かれる思いで渓を後にする。車止め到着時には豪雨となったが、あらためて 3 日間の好期を与えてくれた桝形の渓に感謝した。



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