少年隊取材釣行 in 荒川


[報告者] 齊藤 敦 、齋藤大成
植野将行、岡本佳祐

釣行日:2005/7/2931
メンバー:齊藤 敦 、瀬畑顧問、宇賀神行雄、
少年隊:植野将行、岡本佳祐、齊藤大成


 
 当会では間近に迫る、高齢化という会の存続にも関わる深刻な危機に対し、少年隊を育成し、5年後を目標とした強力なボッカ隊を主力とする組織編成を進めているところであります。今釣行は正しくこの一環であり、日々の"源流釣行養成ギブス"(何じゃこりゃ?)での個々の鍛錬と現場での技術、体力の向上訓練が徐々に成果を表し、予備軍とも言える組織を立ち上げるところまできました。今取材釣行では誰もが源流会の先駆者、重鎮、生き字引、スーパー爺さんとこれ以上の称号が見当たらない瀬畑顧問の直接の指導により、更なるレベルアップを図ることが目的の、一言では語り尽くせぬ困難、過酷なトレーニングでもありました。(本当かいな?)

前列:左から、岡本佳祐クン、齊藤大成クン、植野将行クン
後列:左から、瀬畑雄三、齊藤 敦、宇賀神行雄



大自然に感謝!  [植野 将行]

 中学1年の植野将行です。僕は去年の暮れ宇都宮渓遊会に入会した。入会するまでは従兄弟いとこの家の近くに男鹿川おじかがわが流れており、何度かそこで渓流釣りをしたことはあった。しかし、今回のような山奥まで行って釣りをするという本格的な釣りは、72日にやはり瀬畑さんに連れて行ってもらった只見以来。 1ヶ月の内に2回も行けるなんて何て運がいいんだろうと思いながらも、今回は山形まで行くのかと思うと不安があった。

 今回の釣りは7293031日の23日で山形県の荒川という所に行くというので僕はインターネットで荒川の位置を調べた。そこで釣りをするのだと思うとワクワクしてきた。忘れ物がないか何度も確かめ、瀬畑さんが迎えに来てくれるのをドキドキしながら待っていた。瀬畑さんの車のライトが見えた時にはいよいよだと思い緊張した。僕の家から岡本君の家に寄り、山形を目指して出発した。車の中では瀬畑さんが宇都宮渓遊会について色々と語ってくれた。僕はいつの間にか眠ってしまったらしく、気がつくと林道の入口だった。瀬畑さんの話を聞いていられなかったのが残念だ。車にはいつの間にか齊藤さんも乗っていた。

 3人で話をしたりして、5時ごろに出発の準備を始めた。歩き始めてすぐに大きな吊橋を渡った。何とか無事に吊橋を渡ることができた。この後も2本ほど吊橋を渡った。今まで渡ったどんな吊橋よりも怖かった。2時間ほど歩くと、やっと目的地に着き、ブルーシートを張ってテンバを作った。この後、釣りをしたが、僕はなかなか釣ることができず、瀬畑さんに助けてもらって、何とか1匹釣ることができた。山奥まで来て念願のイワナがやっと釣れてうれしかった。晩御飯は楽しみにしていた瀬畑さんの手料理。釣った魚で作ったイワナの寿司は最高に美味おいしかった。

源流の岩魚と会えた!

 2日目はもっと上のほうに行くというので朝早く出発。足を踏み外したら滝壺に落ちてしまいそうな滝の横を登っていき、足で進めなさそうなところは泳いで進んだ。スイミングスクールに通った経験があったが、洋服を着ていることもあり、プールで泳ぐのとは違っていた。先に進んで行ったが何も釣れず、また泳いで帰った。雨も降ってきて、とても寒かった。帰ったらすぐ焚火にあたって体を温めた。

 3日目は、残念ながら釣りをする時間がなく、山を下りるだけだった。僕はこの3日間で、釣り、焚火、ガケの登り降り、山の中での食事、テンバ作り等、自然の中でしか体験できない大切なことを学んだ気がする。自然に感謝。機会があれば、是非また行ってみたい。

  上段:植野談:「今まで渡ったどんな吊橋よりも怖かった」

  下段左:瀬畑顧問の指導で山菜を取りながら

  下段右:角楢小屋前のテーブルにて
        ちょうどボランティアの方が登山道整備をしていました



山っていいですねぇ。   [岡本 佳祐]

 2005728日、両親と勉強机に別れを告げ、楽しみな3日間が始まった。今回の雑誌の取材を兼ねての釣行は、山形県荒川でのものだった。現地までは瀬畑さんの運転で向かった。助手席には朗らかで優しそうな宇賀神さんがタバコをプカプカと蒸していた。自分の隣には、普段は静かだが釣りでは内なる闘志を燃やす植野君がいた。瀬畑さんのノンブレーキ、カーアクションのような華麗なハンドル捌きで、あっという間に山形県に入った。「実際は恐かった!!」。瀬畑さんはカーナビを使わない。抜け道も頭に入っているらしい。山でもすごいナビゲーターだが、運転手としてもすごいナビゲーターであった。現地の車止めで、いつもダジャレを連発する齊藤敦さんといつでも釣りをできる格好をしていて気合いの入っている大成君親子と深夜に会った。瀬畑さんは寝ていたが、宇賀神さんは朝まで敦さんと呑んでいた。少年隊は少年隊なりの盛り上がりで朝まで笑って過ごした。

 夜が明けてきた頃、みんなで仕度を始めた。各自ザックを背負って歩き始めた。途中、自分にとっては初体験の、ワイヤーと木で出来ている幅の狭い橋を、「俺って源流釣行してるんだ」と、訳の分からない優越感に浸りながら渡った。初体験はまだあった。それは、沢で最初の休憩をとった時だった。ブナの倒木に生えていたヒラタケを敦サンに渡して、戻ろうとしたときに「ズドッ」と、倒木の間に落ちた。瞬間、3発の激痛が全身を駆け抜けた。目の前には黄色い3センチ程の物体が旋回している。スズメバチに刺されてしまったのだ。頭の中は「死ぬ!」の2文字だけだった。パニック状態で瀬畑さんに状況を説明した。

前列:左から、齊藤大成クン、岡本佳祐クン、植野将行クン
後列:左から、宇賀神行雄、瀬畑雄三

 そして瀬畑さんの口から出た言葉は「キンカン」。自分がモタモタしてる間に敦サンがキンカンを出してくれた。瀬畑さんが眉間などの、刺された所に塗ってくれた。刺された痛みを吹っ飛ばす程に目にしみた。でも、やっぱり痛むので、時々キンカンを塗りながら歩いた。そして1時間後、奇跡が起きた。痛みが殆ど感じなくなった。キンカン様は自分に生きろと言ってくれた。山小屋で2回目の休憩をとった。肩に食い込み始めたザックを降ろし、しばし開放感に浸った。小屋からまた歩き始めた。しばらく歩いたらテン場に着いた。

 お決まりのブルーシートテントを張り、少し休んでから釣りに行くことになった。自分はルアー、大成君と将行君がテンカラ、瀬畑さんがカメラで齊藤さんと宇賀神さんが餌釣りだった。5投目ぐらいにミノーで凄く小さい岩魚が釣れた。最初の1匹は気持ちよかった。だが、自分は結局それ1匹だけだった。大成君は不発だったようだ。将行君は8寸ぐらいの岩魚1匹、餌釣りはチラホラ釣れていた。なかでも敦さんが釣った岩魚には尺近くの魚がいた。釣った魚は夕飯でタルタルソース焼き&刺身で食べた。美味×10!夜は疲れていたので早々寝てしまった。
テンカラでも釣れた!

 2日目の朝が来た。今日は釣り三昧だ!釣り方はみんな昨日と同じだった。鱒止めの滝の滝壺で7寸岩魚が釣れた。もう1匹追って来たが釣れなかった。滝をへずって上がり、滝の上流からは自分もテンカラで釣ることにした。開始直後に柳の木がオーバーハングしている場所でイメージ通りにここだ!と思ったときにゴツン!と釣れた。嬉しかった。調子に乗ってまたすぐに雄々しくて格好いい岩魚が釣れた。サイズも約9寸!この時は自分以外は誰も釣っていなかった。エヘヘッ、しばらく釣り上がると両岸が切り立った流れが現れた。みんなで泳いで上流に向かった。さぁ、爆釣パラダイスだ!と思ったが結局自分は1匹しか釣れなかった。ちょっと残念。また泳いで流れを下りそこで昼飯になった。温かい素麺が身に染みた。

温かい素麺が身に染みた・・・

 しかし、食べ始めた途端にドシャブリの雨。寒くて死にそうだった。そのままテン場まで下って夕飯の仕度を始めた。メインディッシュは岩魚寿司!美味×100!尋常じゃない美味さ!気絶寸前。そのままあたりは真っ暗になった。そして大人陣から色々と大切なことを教わった。それは、山では全てが協同作業!そしてその協同作業を通じて社会勉強をしてほしい。なるほど!納得!改めて山ってすごい!何でも教えてくれるんだなと思った。山っていいですねぇ。




「源流釣り」は釣りだけじゃない   [齋藤 大成]

 20057月、僕は初めて少年隊のみんなと山形県の荒川に行った。荒川には何度か父と岩魚釣りに来たことがあった。前回の荒川釣行では、あまり良い釣果を得られなかったので今回は何とかと思い、以前に瀬畑さんから頂いた毛鈎を真似て前夜に何本も自分で巻いて準備した。そして当日の夜明け前、荒川の車止めで瀬畑さん、宇賀神さん、少年隊の岡本君、植野君達と合流した。ここまで寝ないで来たが、目がさえて寝付けず、車の中で少年隊の仲間と明け方までトランプで時間を過ごした。

源流では“少年隊”も楽しそう!

 ようやく明るくなり、山で過ごすための装備や食料を大きなザックに仕舞い、いつもの釣り用のベストを着ていつでも釣りができるよう竿をザックの脇のポケットに差して出発した。山道を少し歩いて行くと荒川に掛かる高い吊り橋があった。やっとのことで渡り終えたが、高所恐怖症の自分には橋を渡っただけなのに何かをやり遂げた時の達成感があった。

 さらに歩いて行くと今まで見たことのないキノコなどが沢山あった。そうした珍しいものや瀬畑さんたちの話を聞きながら歩いて行くと、ここまで来た2時間がとても短く感じられた。自分が住んでいる町の中だったら2時間も歩くことは考えられないが、不思議なことにここではまったく苦にならなかった。

 そしてテン場に付くとシート張りや薪集めなどここに泊まる準備をし、待ちに待った釣りに出掛けた。来た道を少し戻り、急な崖を木につかまりながら川に降り立ち、ここからテン場まで釣りをした。しかし、期待に反し1匹も釣ることができず「まあ、釣れないこともある。明日に釣れればいい。」と思い、テン場では皆と楽しい夜を過ごした。

 2日目は急流や滝のある場所を少し上流まで歩き、釣りをしながら上って行った。あまり岩魚が居そうとは思えない渓相のポイントだと思ったが、毛鉤を流してみたら念願のアタリが来た。とっさにアワセて慎重に少しずつ引き寄せ手に取ろうとした瞬間「ボチャン」と水の中に岩魚を落としてしまった。結局アタリはこれだけで1匹も釣れずに終わってしまった。でも釣れなくても皆とガヤガヤしゃべって遊んで岩魚の刺身や寿司などのおいしいものを食べることができてとても満足できた。やはり源流釣りは釣りだけではなく、こういうのも楽しいことのうちだと思う。でもやはり釣りたかった。「次は絶対釣ってやる。」

釣りだけじゃなく、泳ぎもあり!



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