Fishing2007釣行記 群青の渓[下田山塊某沢]
群青の渓 [下田山塊某沢]
 
  
[報告者] 本宮和彦
釣行日:2007/9/15〜17
 メンバー:小林一夫、上田勉、上田房子
 石綱覚、大塚八朗、寺尾一木、本宮和彦
 
 
 
 
 「俺のお勧めがあるんだよ」

 「どこっすか?」

 「いいとこだよ」

 「だからどこっすか?」

 「行くかどうか上田さんに聞いてみてくれ」

 「だから  ・・・・・          ハア・・・   」

 そんな会話で始まった今回の釣行計画。いつも小林サンとのキャッチボールがうまく出来ずお互い何度も同じ球を同じところに向って投げ続ける。私はキャッチボールだと思いグローブをして行くのだが、小林サンはテニスウェアを着てきたりするもんだから一向に会話が進まない。仕方なく述語のみを聞いてみるとどうやらこうだ。

 「俺のお勧めの沢があるんだが、本宮がリーダーなんだからみんなの意見をまとめてくれ。キツイけどイワナは沢山いるぞ。返事を待っている」

 と云っているらしい。

 他のメンバーに募ると
 「イワナがウジャウジャだったらいいんじゃない」

そんなお気軽気分で決まった今回の釣行ではあるが、元々は当会の公式行事である「桝形川釣行」であったが小林サンのお勧めと云うこともあり総勢7名での大型釣行にチョットの期待大きな不安を抱えながら林道の車止めでの入山祝いを迎えた。

 
 初日から2日目までは、釣行記「桝形川改め[阿賀川支流某沢] 石綱覚編集」に詳しいので割愛させていただこう。
ここでは、2日目F3以降の釣行記として記していきたい。

泳ぎでもリードしてくれた小林サン
上田サンにも良型が


 F3で石綱氏と別れた一行が降り立つ滝上は岩肌こそ荒々しいが流れは穏やかで淵尻に立つとイワナ達がビュンビュン走る水蒼き流れだ。

 中流部でもそうであったが、まるで人影を気にしないイワナたちは淵を群れ、水面のトンボに飛びつき私たちの目を楽しませてくれる。

 エサで食糧確保をしてくれるガッチャンにあたりが。それも私が渡渉中の流れの中から。
上田さんと云えば釣っては放し(放す方向が少しずれているが)の繰り返しでガハハハと笑いっぱなし。八ちゃんと私は掛けるがバラシの連続で皆から失笑をかっていた。


F3上の上田さん
仲良きことは嬉しきことかな
                   釣れちゃいました!


 そんな中案内人の小林さんだけは真剣そのもの。一心に大きな(30b離れていても見える)乾き毛バリを操りイワナを掛けていく。掛けるたび何か話しかけてくるが良く聞き取れない。微かに聞こえてくるのは何かを否定している言葉だけ。でも私だけにこの渓の醍醐味を話してくれた。

「おい!本宮!(チョット切れ気味に)今日は15bの滝まで行くぞ!」

「えっ?15bの滝?  その滝には名前が付いてないんですか??」

「15bの滝って云うのが正式な名前なんだよ!」

それって正式って云わないような気がするんだけどなぁ」(
小さい声で・・・



                      よく分からないがとにかく行って見よう・・・・・・・・ 



たまには釣りもします
八ちゃんも釣りなんかしてみます
いいから先生についてきなさい!  はいっ!


 いつの間にか穏やかな流れも活発なイワナ達も忘れてしまうほど流れが両岸極まってくる。


「あれれ?なんか詰まってきちゃいましたけど、どうしましょう??」

「突破だ!突破!」

「よし!じゃあ行けるとこまで行ってみますか」

 
 ガッチャンも八ちゃんも泳ぎの連続でずぶ濡れになっている。時には流されヒヤッとする場面もやはりチームワークのなせる業か。指先だけで引っ張りあげる離れワザで事なきを得ながら難所をクリアしていく。

 



ファイト〜!!イッパァァツ!!
楽しい沢登り
平水なら何の問題もないポイント


 ヘツリ、泳ぎを繰り返し難敵をやり過ごしようやくここでお昼ご飯。

 散々泳いで冷えたからだを温めてくれる(?)のは冷水で冷やした素麺。少々戸惑いながらも上田サンの笑い声で景気づけをしながら皆で食べたが寒いものは寒いのである。(その前のビールも冷たかったのだが・・・それは・・・・冷たい方が・・・いいに・・・決まっている・・・・じゃないっすか・・・・)


 寒々しくも暖かい昼食後は陽が翳る前にテン場へ戻りたい。そんな思いも逃げ惑うイワナと素晴らしい渓相に帰巣本能が少しだけ麻痺し、素晴らしい青空を理由に思い思い渓との語らいを続けよう。

 


ガハハハハ!!さみいけど食っとかねえとダメだぞ〜!!
源頭も近くなり流れも穏やかに


 今日ほど毛バリ釣りが良いと思ったことはない。ガッチャンはエサが無くなりとうに釣りを終えているようだ。

 ふと淵尻を見るとのんびりとイワナが泳いでいる。二bほど前に毛バリを落とすと上流にもエサ待ちをしていたイワナが反転し下流にいたイワナとぶつかるかと思った瞬間下流の方がよけたがまんまと毛バリをくわえたのは良型のそれだった。

 しばらくは好ポイントが続き私もカメラマンに専念しながら遡行を続け、ふと時計をみると既にもう3時。

 「いや〜〜!今日は釣りはもういいっす!」
 八ちゃんの声に皆が笑いながら竿をたたんだ。正確には竿をたたむきっかけを待っていたのだろう。

 残念ながら”15bの滝”には届かなかったものの悲しくも嬉しい思いのまま険しい渓を下ることに皆も納得した。
テン場で待つ二人の分まで沢登りを楽しめたこの青空に感謝したい。

 
 気がつくとさっきまで毛バリを振っていたポイントを下っていく。にも関わらず上流から飛び込む私たちを前に逃げ惑うイワナ達。
 
 早くテン場に戻って焚き火を囲みながらビールが飲みたい。上田サンの速さに離されないよう、小林サンの話が聞き取れるよう一生懸命ついていこう。



まじめな一瞬です
飛び込んだあとは・・・ ラーメンも作っちゃいます (マウスを画像にあててください)





テン場に着くと二人ともヘベレケになっているかと思っていたがキチンと薪を集め宴の準備もOKだ。







 

 その夜は残りのアルコールを全部やっつけたい。昨夜は早々に寝付いた上田夫妻、糖○病が気になる小林サン、そろそろ家族の顔が思い浮かべそうな石綱氏、相変わらず良きパートナー丸八商店氏、そしてテン場を守りきった寺尾氏のフルメンバーで群青の空を見上げながらこの渓の豊かさにふけり、夜更けまで楽しい宴の響きに酔いしれてみる。


 楽しくも最後は燃え残る焚き火を慈しみながら眠りについた。酔いよりも疲れよりも何よりも苦楽を分け合った仲間達と一つ屋根の下で同じ夢をみることがこの旅の醍醐味かも知れない。



 月がこの渓を去り、星たちが歌声を上げながら散り行くこの宵に、楽しかった今日をもう一度思い出しながら夢の中を彷徨ってみよう。それこそがこの渓との語らいのひと時なんだと・・・・





(ほんぐう かずひこ)
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