Fishing2010釣行記 近くて遠いもの[朝日山塊某沢]
近くて遠いもの[朝日山塊某沢]
 
  
[報告者] 本宮和彦
釣行日:2010/06/某日
 メンバー:稲垣信明、稲葉英幸
 寺尾一木、松田和浩
 本宮和彦(下流部隊)
 齋藤敦、重川英喜
 根本宏(上流部隊)
 
  山越え。
 
 なんと手短で分かりやすい言葉だろう。

 しかし今回は渓流釣り本来のセオリーに乗っ取り下流部の車止めから目的のテンバを目指すことにした。
「う〜〜ん・・・」地形図を眺めながら思わず唸ってしまった。行くと決めたものの距離にして約12km。同行の稲葉っちが「出るなら今から歩き始めないと着かない」とその時は少々オーバーかな?とも思ったが確かに早ければ早いほうが越したことはないと白み始めた林道を歩き始める5人の足取りはまだこの時点では軽かった・・・


 当初林道の車止めはまだまだ先であった。というのも林道の入り口でふたっ抱えもありそうな巨木が横たわり
「この先は行けねえから山越えに切り替えろ」
と私たちに諭しているようだった。そこで真夜中の作戦会議になり一時は山越えに決まるもリーダーに祀り立てられた私が同行の4人を天気のよさと下流部は相当魚影が濃いらしいというエサで簡単に釣りあげてしまいこうしてはるか遠くの車止めを目指し歩いている。


 旧車止めを過ぎ川床に降り立つと朝日が眩しく荷を軽くするためにもビールを稲垣(兄)(以降お兄ちゃん)とで回し飲む。
穏やかな渓相



 さしたる悪場もないままふと目を凝らすと竿を出している釣り人が見えた。先行者がいるのは分かっていた。しかし、こんなに早く追いついてしまうとは・・・先に行くことも叶わずただ、ただ後ろからゾロゾロとついていく5人。しかし、我々の“頼む!!行かせてくれ!光線”が通じたのかついに先行を許された。全員でその釣り人に挨拶をすませいざ上流部へ。



 上流には3段の滝がかかっているらしい。それまでのわずかな区間を釣り上がる。以前この沢で良い思いをした松田君を先頭にアタリを待つ。確かに流れの中で捕食を続けるイワナが見えるがなぜか釣れない。この時魚影が濃いのと釣れるのは違うことに気がついたが今更メンバーに話しても仕方ないので黙って毛ばりを振ってみた
 
ルアーマンも苦戦


テンカラ師も苦戦


松田クンも苦戦




 落ち込みが増えたところでようやく3段の滝の釜へ着く。どうやら右岸側を小さく巻いて越えるらしい。(らしいと云うのはあくまでそう思っただけで結果は分からずじまいであった)

 まず、寺尾さんが一人で様子を見に行きフォローに回った私もそのあとを続こうかと枝に掴まり踏ん張るがザックが重く体が上がらない。
その時寺尾さんが
「おい、本宮!ザイル出すから待ってろ。」
溺れる者は藁をもの世界である。しかし・・・失念。ザイルは無く二人で大高巻きをした3人の後を追うことになる。

何のことはない滝ですが・・・



 相当難儀するもようやく下降地点を見定め先行の3人と合流し、お兄ちゃんガッチリ握手!のはずが高巻きで体力とともに握力も失ってしまったのかまるで力が入らない。と思っているとお兄ちゃんもたばこを持つ手がプルプルと震えている。二人で参ったなと呟きまたまた重いザックを背負いテンバを目指すことにする。

 ここまでもそうであったが水量が多く雪解け水も混ざりチョットした渡渉でもスクラムで難をのがれたりとそれはそれは朝日の沢を満喫できた


 ようやく見覚えのある枝沢まで辿り着き、テンバまではもう少しと遡行を続ける。

 焚火の香りがするころようやく先着の3人と合流でき、一様にメンバーの顔にも笑みがこぼれた。腕時計を見るとな、なんとなんとここまで13時間・・・

 こうなるともう飲むしかない。板前の経験があると云う重川さんの手際のよい調理にこれまた今宵も酒がうまい。齋藤さん、根本さんとも今日のコースの厳しさ(色々な意味で)について語り合い焚火の温かさにうつらうつらと眠ってしまった。夜中寒くて目が覚めると寺尾さんも焚火のわきでいつものように撃沈していた。
 

薄暗くなってようやく落ち着きました

     
   和気あいあいと

 
     
   齋藤さんも腕をフルってくれました

 
「そら、本当かい?あんちゃん!」

テンバ前の風景

快適な寝床です



 朝は全員で朝食を取り山越えルートでの帰還を選択。私の靴ずれの痛みもピークを迎えヨロヨロ急登をやり過ごし見晴らしの良い場所で握り飯の昼食。その後転げ落ちるように下り我々の車の回収までも重川さんの車にお世話になりようやく帰路につくことができた

 さてさて、肝心要の釣りはと云うと・・・   この後の齋藤さんのレポートをお楽しみに!!
山越え職人



 


(ほんぐう かずひこ)
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