Fishing2016釣行記 岩手県某沢釣行記
岩手県某沢釣行記
 
  
[報告者] 高瀬賢一
釣行日:2016/8/某日
 メンバー:渡辺、江口、高瀬
 
 
 
 
 
 今回の釣行は久しぶりの少し長めの釣行となった。日程を合わせるのに苦労したが、その甲斐はあったように思う。ナベちゃんの強い希望により源流を目指すことになった。『 僕は源流思考なんです。』などと寝ぼけた事をほざいていたので、付き合ってやることにしたのだ。そうは言っても4〜5日源流にはいるとなれば、それなりの装備は必要になる。一番問題になるのは私の体力なのだが、片道25キロともなれば帰りの事も計算に入れておかなければならない。昔の様に若くはないし、あれやこれやと思案はするが、結局誘惑に負けて決心する。目指すは最深部の本流と右から流れ込むネジヤ沢だ

しかし決行までの計画の段階は楽しいもので、地図を見ながら想像を廻らし、心はすでに暗闇の中で焚火を囲んでいる。今回はビール20缶、焼酎ペットボトル3本、ウイスキー1本たりないかもしれないが酒を飲みにゆくわけではない? ので ? これだけにした。エグッちゃんとナベちゃんのリュックはドラえもんのポッケットだから、困れば何か出て来るだろうと期待しつつ。出発の前日は台風の影響で岩手県は大雨警報が出ていたが、ナベちゃんの秋田の知人に確認したところ、強風は吹いたが雨はほとんど降らなかったらしい。入山するかどうかは現地を確認してから判断することとし出発。入山の判断は私に一任と言うことで6時間の高速道路ドライブとなる

車止めまでの道中は、倒木で道が塞がれていないか、崖崩れの危険はないかなどと恐る恐る進む。幸い11時少し過ぎに車止めに到着、ビールを飲み就寝。夜明けを待つ。一夜明けて谷の流れを覗く。





 『 いいねー。』三人顔を見合わせ思わずニンマリ。少し増水気味だが渡渉には問題はなさそうだと判断する。リュックを担ぎそそくさと歩き始める。既に体は臨戦態勢に入っているのだ

朝露に濡れた草木をかき分けて進む、陽が高くなると汗ばむ道だが早朝は心地よい。重いリュックもあまり気にならず、第四橋のいつもの天場を目指す。何度か通った道だが草木の伸びるのは早い、今回の為にナタとノコギリで道を切り開いておいたが、やはり悪戦苦闘を強いられることとなった。初日の天場には11時頃に到着。





     

 前回集めて置いた薪もそのまま、イス用の石もそのまま、後はテントを設営するだけになっている。

手早く設営を完了し早速釣りに出かける。二人ともだいぶテンカラが上達したようで、見ている師匠としても『 うむ、満足である。』

ナンチャッテね。新たに巻いた毛鉤もプレゼントしたし、後は立ち込む位置だけを気を付ければ上達間違いなしだろうと思う。(才能有りです。)

 






晩飯用に各自二匹を確保し、天場にもどる。

今夜のメインデッシュは岩魚料理、三枚におろしから揚げにする、その上にきざみネギを乗せポン酢をかける一品と定番の刺身、他はドラえもんのポッケットから出て来る品々、例えばナベちゃん持参のレタス、炒めたハムにちぎったレタスを加え、さっと炒め塩コショウ、

これがシャキシャキとして絶品であった。

しめはザルそば、焼酎のお湯割りが進むこと、ほんとに最後の夜まで酒大丈夫なのかと心配しつつ就寝。

目覚めると快晴、焚火を起こす。

川面に張りでした森の木々、その間を流れる白煙、止まった時間の中に川のせせらぎだけが聞こえる。

流れる煙を抜けて朝日が差し込む、地上に神が降りて来るのか





  

早速朝飯の準備を手分けする。岩魚汁をつくり、飯を炊く。昼用の握り飯も同時進行。

食後に美味いコーヒーをいただく。

天場撤収、8時さらに源流を目指し出発。最奥のエンテイを越え源流二股手前2キロの地点に天場を探す。

地図での検討ではそのあたりの等高線の間隔が広い。

 

ガレ場を越え、道を切り開き進む。

途中藪を切り開いている時に、異様な獣臭を感じ全員に緊張が走る。近くに何か居たようだ。

笛を吹き、ナイフを抜く。

途中に熊の糞があったのでちょっとビビる。ここはまぎれもなく彼らの世界なのだ。

遂に眼下にエンテイを捉える。流れ落ちる水しぶきは結構感動的だ。



 エンテイを越え山の斜面を下りゆったりと流れる本流に降り立つ。

あまり訪れる釣り人の気配は無く、足元を岩魚の影が走る。途中握り飯休憩をとる。

 エグッちゃんのポケットから卵スープの素が出て来る。お湯を沸かしカップに注ぐだけでこれが美味い。体は温まるし握り飯に合うのだ。優れものを又一つ見つけたようだ。

 










 狭まった渓の上に台風一過の青空が広がる。最高の仲間と時を共有しているのだ。

こんな時静かに川のせせらぎを聞いていると、まるで若い娘たちの笑い声や、楽し気な話声が聞こえる事がある。私だけでなく不思議な幻聴を体験した事があると、他の釣り仲間から聞いたことがある。

穏やかな午後のひと時である。

さらに先を目指す。やがて川を遮るような倒木を越えると、川はS字にくねりその先に砂地が広がる。

周囲には増水時に運ばれた流木が溜まっている。たぶんここが地図で当たりを付けた場所に違いない。


 
  

早速平らな石を並べテーブルを作り、腰かけ用の石を運ぶ。

テントを設営し、竿を片手に川を覗きに出かける。

交互に竿を出し毛鉤を振る。いつものように手袋を水に濡らし、毛鉤を外しウブな奴を流れに戻す。

やがて二股の出会いに到着、遂にたどり着く。肩を組んで記念の一枚。

水量も落ち着きどちらの流れも美しい。

ナベちゃんの希望が三人の希望となって明日叶えられそうだ。

明日の為に本日は納竿とする。

 

天場に戻り川で汗を流す。


  

岩魚の天ぷらを食べながらの会話は、自然と明日の事ばかりでやけに焼酎が進む。

シシトウの天ぷらを食べた私はその夜から激しい下痢、辛いシシトウであった。

右足の土踏まずを痛めていた私はダブルダメイジだ。何ともしまらない私である。

就寝
・・・

明けて四日目、リュックに握り飯を詰めていざ出発、途中を飛ばし出会いを目指す。

左の本流に入渓。

次にネジヤ沢に入渓。



     

こちらは正しく毛鉤の渓で期待どおりの渓であった。

八月ともなれば渓はペアリングの季節、一つのポイントで一匹が掛るともう一匹が私の足元まで追ってくる。

悲しそうな眼をした岩魚がその場を離れない。

慌てて毛鉤を外し、流れに戻す。二匹は連れ立って流れに消えた。

可哀想な事をしたと後悔の念に駆られる。こんなことは初めての体験だった。

納竿、満足の一日となる。

最後の夜は満天の星と焚火、普通の人達には体験出来ない世界、美味しく残りの酒をいただく。

就寝。

明けて六時、今日は一気に山を下る日だ。穏やかな朝、青い空を見上げる。

朝飯を済ませ握り飯をリュックに詰める。私の体調を気遣いコッヘルセットを私に代わって背負ってくれたナベちゃんに感謝。

25キロの帰り道は遥か遠く、しかし自分の足で歩いて帰らなければならない。

ただひたすらに一歩一歩。


 






 

天場に『有難う御座いました。お世話になりました。』の挨拶をしてから約8時間、車にたどり着く。

満ち足りた気持ちで『いやあー着いたねー。』『楽しかったねー。』心の中で次回を約す。




(たかせ けんいち)
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