酒飲み屋渓遊会


齊 藤  敦



 宇都宮渓遊会に入会したての頃は、正直 「とにかく魚が釣りたい、情報が欲しい」 が大きな目的のひとつだったような気がする。 最近、年のせいもあり 「何処の沢で何を肴に美味く酒が飲めるだろうか」 などとばかり考えている。 どうやらホームページなどで同業者の人達の行動を拝見すると総じてこの傾向のようでもある。 一般の方から見れば普通の人が行かない(行けない)源流へ行って釣り放題に親魚を獲って煮たり、焼いたり、揚げたり、はたまた燻製にして持ち帰ったりと散々と殺生をしているように思われるだろうが、少なくとも私の周りにはこのような人はいない。 釣っても全部リリースで一匹も食べなかったり、釣りが主目的で来ているのに竿さえ持って来ない人、最初の 1投で釣って今回はもう十分と言う人、竿を持って来ていても延々(ダラダラ?)と酒を飲み続けている人など、釣りの会としての意義があまり感じられない。(悪いことだとは思わないが)

 誤解のないようお断りしておくが、私は C&R 派ではないので食べたい時は食べるが、それでも一人 2匹もあれば刺身に唐揚げに汁にと十分に有難くいただける。個人的な考えだが、燻製や焼き枯らしで持ち帰ることもたまにはあるが、少々のそれをツマミにその時のことを思い出しながら一杯やる程度で大量に持ち帰ってもはっきり言ってスーパーへ行けばもっと美味いツマミは沢山ある。やはり、食べるなら現場で焚火を囲みバカ話をスパイスにと言うのがセットでないと宜しくない。

 先月、新潟の隠し沢になめこ採りに行くが、いつものルートが林道崩壊で通行止めになっており、徒歩での沢詰めの沢降りで目的地を目指した。そこそこの収穫と朝兼昼飯宴会でのナメコ汁を満喫し、上機嫌で来た沢を詰め上がる。と前方の浅瀬がバシャバシャと波立ち「なに?」と見ると長靴で歩けるような小沢なのに 40センチ近いオス岩魚が居た。多分産卵の時期を迎え遡上して来たのだろうが、まさかこんな所にとは思いもしなかった。記念に持っていたデジカメで一緒に写真を撮り、そっと流れに帰した。入会したての自分だったら「おーっとイイもん見っけ!行き掛けの駄賃に、今晩の肴はナメコと岩魚で・・・」などとなっていたかも知れない。

ナメコは、少し早いがプリプリでした 会友の林出氏、大岩魚を手にご満悦


 今年も後僅か、来年も益々この傾向が強くなりそうで山歩きでのダイエットは期待薄のようである。





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